tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経営者の仕事、経済社会の発展と調整

2014年08月08日 11時09分54秒 | 経営
経営者の仕事、経済社会の発展と調整<2008年8月6日付のリメイク版>
 企業というのは、ベニスの商人にも出てきますように、「ひと儲けしようと東洋に船を出す」といった事業だったのでしょう。成功すれば出資者が儲けを山分けして終り。また次のチャンスを探すのです。

 ところが、ジェームス・ワットの蒸気機関の発明などで、繊維産業とか鉄道事業とかになってくると、一儲けして終り、という訳には行きません。事業を永続的に継続しなければならなくなりました。

 工場や店舗を持って永続的に事業を行う。ゴーイング・コンサーンの始まりです。
 多くの人から株式という形で出資を求め、その資本を投資して事業を行うという株式会社が考案され、これが事業の一般的な形になっていきました。

 日本には聖徳太子の時代から続く建築業の「金剛組」を筆頭に、創業100年、200年という寿命の長い会社(超長期のゴーイング・コンサーン)が世界でも格別に多い国です。ドラッカーが日本に来てそれを知り、彼のマネジメントの思想に取り入れたことは容易に理解できます。

 株式会社でも地方自治体でも国でも、そのトップは今やオーナーではありません。その企業や組織の運営(経営)を「たまたま」委託されている人です。その人に必要なものは、そこに存在する(組織化されている)人間と資本、技術、情報などを最も効果的、効率的に活用して「社会の要求に最も良く応える」という仕事です。

 国や自治体も行政というサービスを売って、税金という対価を貰うと考えれば、株式会社と似てはいますが、ここでは株式会社(民間企業)の経営者を中心に考えます。

 企業がゴーイング・コンサーンとして永続するという事は、社会がその企業を必要としているからです。社会が必要としなければ、誰もその企業の商品やサービスに金を払わず、企業は消滅します。

 経営者のやるべきことは、その企業が存続し続けるために(企業は競争社会に棲んでいますから競争に勝たなければ存続しません)販売、製造、技術開発、情報の収集・活用の最適なバランスを考え、それらを担当する人間(従業員)を適切に配置し、それを適切に実行するように働いてもらうことです。 
 これらを実行するのは経営者・管理者を含め、すべて人間ですから、最後には人間の問題が最も重要になります。。

 これで売り上げが増え、付加価値が増えれば経営は半分成功(発展の面)ですが、経営者には、こうして創り上げた付加価値を「適切に分配する」という役割もあります。
 人件費と利益にどのように分配するか。利益からは法人税も取られますが、さらに、株主への配当と新規投資のための自己資金となる内部留保とをどのように決めるか。これも経営者の重要な役割です。

 労使の配分に不満が出れば、労使関係が悪化し、企業の生産性は落ちるでしょう。株主への配当が少なければ、株主の不満は企業の資本調達に影響します。

 経営者の役割というのは、こうして企業のすべての関係者(ステークホルダーズ=広く見れば社会全体)に満足してもらえるような発展を担い、さらに最適なバランスを考えて実行する賢明な「経済社会の発展の担い手と同時に調整者」という極めて重要な役割なのです。


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